「運転免許を取ったもののほとんど運転したことがない」「以前は運転していたが、もう長い間運転していない」といった、いわゆるペーパードライバーの方も多いかもしれません。久しぶりに運転しようと思っても、発進手順さえおぼつかない...なんていうことも。思わぬトラブルを起こさないためにも、運転するうえで欠かせない基本的な知識を復習しておきましょう。
本記事では車の装備、運転席まわりの機能から久しぶりに運転する時のポイント、練習方法まで一挙に紹介します。
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1.これって何?運転席まわりの機能と配置を復習
運転席に座ってみると様々な設備や計器類が配置されているのがわかります。久しぶりに見るとどれが何かわからなくなっていることも。基本的な設備をおさらいしておきましょう。
運転席まわりの設備の名称と役割
①アクセルペダル
踏み込むことでエンジンの回転数を上げ、スピードを上げる仕組みです。
②ブレーキペダル(フットブレーキ)
運転時にメインで使用するブレーキで、踏み込む強さによってブレーキの強さを調節します。
③パーキングブレーキ(サイドブレーキ)
主に停車している車の静止状態を維持するための補助的なブレーキです。手元でレバーを引くタイプの他に、足元に設置されている足踏み式パーキングブレーキもあります。
④シフトレバー(セレクトレバー)
走行状況によってエンジンの出力を変速するトランスミッションを操作するためのレバーです。
⑤エンジン(イグニッション)スイッチ
エンジンや電気系統などを始動させるスイッチです。キーを挿して回すタイプの他、ボタンを押すタイプがあります。
⑥非常点滅表示灯スイッチ(ハザードランプ)
非常時ややむを得ず停車する時に、周囲に警告するために使用するランプです。このスイッチを押すとすべての方向指示器が点滅します。
⑦ワイパー・ウォッシャースイッチ
ワイパーを動かすスイッチです。拭き取りスピードの調整やウォッシャー液の噴射を行えるものもあります。
⑧方向指示器・ライトスイッチ
進行方向を示すウィンカーを点灯するスイッチです。レバー式になっていることが多く、一般的に方向指示器の先端にライトスイッチが取り付けられています。
⑨ハンドル(ステアリングホイール)
ハンドルのことはステアリングホイールとも呼びます。車の進行方向を調整します。
⑩ホーンスイッチ
危険な時などに警笛を鳴らすために使用します。
知っておきたいメーターパネルの計器類
次に、メーターパネルに配置された基本的な計器類を確認してみましょう。
名称 | 機能 |
---|---|
①スピードメーター | 速度を表示します。 |
②オドメーター | 車の総走行距離をkmで表示します。 |
③方向指示表示灯(非常点滅表示灯) | 方向指示器や非常点滅表示灯を作動させると点滅します。 |
④ヘッドランプ上向き表示灯 | ヘッドランプをハイビームにすると点灯します。 |
⑤シフトレバー位置表示灯 | パーキング(P)、リバース(R)などシフトレバーの位置を表示します。 |
⑥タコメーター | エンジンの1分間の回転数を表示します。 |
⑦燃料残量警告灯 | 燃料の残量が少なくなると点灯します。 |
⑧燃料計 | 燃料の残量を表示します。 |
⑨トリップメーター | 車の区間走行距離を表示します。 |
⑩水温計 | エンジンを冷やすための冷却水の温度を示します。 |
⑪シートベルト警告灯 | 運転者や助手席の同乗者がシートベルトを着用しないと点灯します。運転者がシートベルトを着用しないまま走行すると警告音が鳴ります。 |
⑫ドア警告灯 | ドアが開いているか、完全に閉まっていない時に点灯します。 |
2.運転する前に車の装備を確認
久しぶりに運転する場合、車の操作方法を忘れていることもあるでしょう。思わぬ事故につながらないように、まずは運転席に座って次の装備の操作について確認してみましょう。
アクセルとブレーキの確認
AT車の場合、運転席の足元には基本的に右側にアクセルペダル、左側にブレーキペダルが配置されています。車種によって位置や高さが異なることもあります。アクセルペダルとブレーキペダルは右足だけで操作します。踏み間違えることがないように位置を確認してください。
また、アクセルやブレーキを勢いよく踏むと衝撃が生じることがあります。かかとを床につけてゆっくりと踏み込み、加速や停止の感覚を思い出しましょう。
方向指示器やライト類の操作
方向指示器は、国産車では一般的にハンドルを握った右手側に配置されています。ライト類はヘッドライトやスモールライトなどがあります。方向指示器の先端がライトのスイッチになっていることが多いです。スイッチの位置や操作方法を確認しておきましょう。
エアコン、カーナビの操作
エアコンには温度や風量を調節するスイッチや内外気切り替えスイッチ、フロントガラスの曇りを取るデフロスタースイッチなど様々なスイッチがあります。運転に集中できるように、エアコンやカーナビの操作方法は事前に把握しておくことをおすすめします。
バックミラーの調整、確認
バックミラーは運転中に後方を確認するためのもので、サイドミラーやルームミラーなどがあります。サイドミラーは、ミラーの下半分ほどに路面が映るようにし、左右方向は自分の車のボディの1/4ほどが映り込む位置に調整するのがおすすめです。ルームミラーは、リアウィンドウが左右均等に映る位置にしましょう。
運転席の座り方によってバックミラーの見え方は変わってきますので、正しい運転姿勢を取ってから調整することが大切です。
バックミラーとサイドミラーについては、次の記事でも解説していますのであわせてご覧ください。
3.久しぶりの運転で起こしがちなトラブル対処法
久しぶりに運転しようとすると、発進手順など基本的なことを忘れていることがあります。ここでは、起こしがちなトラブルや対処法を解説します。
車の発進手順を忘れた
久しぶりの運転の場合、どうやって車を動かすのか、という手順を忘れてしまいがちです。AT車の場合は次の手順でおさらいしてみましょう。
- 車に乗り、シートに深く座って正しい運転姿勢を取る
- 右足をブレーキペダル、左足をフットレスト(運転席の足元左側にある足を置く台)に乗せ、膝に余裕のあるポジションにシートをスライドさせて固定
- シートに背中をぴったりとつけて両腕でハンドル上部を握り、肘が少し曲がる位置でシートのリクライニングを調節
- シートベルトを着用して、サイドミラーとルームミラーを調整
- ブレーキを踏みながらシフトレバーの位置がP(パーキング)にあることを確認。エンジンキーをひねる、またはエンジンスタートボタンを押してエンジンをかける
- ブレーキペダルを踏みながらシフトレバーをD(ドライブ)に入れ、パーキングブレーキを解除
- 周囲の安全を確認したらウィンカーを点滅させてブレーキペダルを離し、アクセルを踏んで加速
車両や車幅の感覚を忘れた
車両感覚や車幅感覚を忘れていると、車線変更や駐車時など様々な場面で支障があります。感覚を取り戻すには、白線を活用しながら自分の車の車幅などを確認します。たとえば、車が車線の中央を走行している時に、運転席から見える中央線や歩道側の白線がどのあたりにくるのかを把握すると、車幅に合った走行ができるようになります。
また、空いている駐車場の白線を利用するなどして、白線に沿って前進・後進を繰り返したり、車と目視のギャップを把握したりするのもおすすめです。ただし、練習は必ず安全な場所で行いましょう。
道路標識を忘れている
駐停車禁止、進入禁止、一方通行など道路標識は安全運転に欠かせません。曖昧なまま運転すると事故につながりますので、運転する前に教則本やインターネットなどを使って復習しておきましょう。標識についてはこちらの記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
バックミラーで見える範囲を忘れた
サイドミラーやルームミラーは車線変更や巻き込み事故防止、車庫入れなど後方確認に必要なものです。まずは助手席に乗せてもらい、目視とミラーの見え方の違いやバックミラーの死角などを確認しましょう。
駐車場に車を止められない
「周囲の車にぶつけそうで怖い」「まっすぐ駐車できない」などはペーパードライバーにありがちな悩みの1つです。これを解消するには駐車場での練習が必要です。白線を引いてあり、周囲に車両が停まっていない駐車場で練習しましょう。運転が上手な人に助手席に座ってもらい、バックミラーの見方やハンドルの切り方などのアドバイスを受けながら練習するのもおすすめです。
高速道路で合流できない
高速道路で本線に合流できるかどうかが不安、という方もいるでしょう。合流のコツは加速車線を上手に使うことです。加速車線で速度を上げ、本線を走行する車と同じくらいの速度にすることで、合流しやすくなります。
4.久しぶりに運転する時のポイント
それでは、実際に公道に出て運転する時はどんなところに注意すれば良いのでしょうか?運転のポイントを解説します。
まずはリラックス
運転席に座ったら深呼吸をして、まずはリラックスしましょう。焦る気持ちは事故につながりやすくなります。かかとを固定できるスニーカーなど、運転しやすい服装にすることも大切です。
急発進、急ハンドル、急ブレーキをしない
走行を始めたら車や歩行者など周囲の動きに注意します。急発進、急ハンドル、急ブレーキは危険ですので、1つひとつの動作を落ち着いて行うようにしましょう。
知らない道は避け、よく知っているエリアで
最初は、自宅近くの普段から通る道などよく知っているエリアで練習しましょう。右折専用の信号機や一方通行などの道路標識、混雑する時間帯、視界の悪い交差点など道路のことをあらかじめ観察しておくと安心です。運転する時には観察したことを確かめる形で走行すると予測が立ちやすく、走りやすいでしょう。
運転が上手な人に同乗してもらう
信頼している友人や家族などに運転の上手な人がいれば、同乗してもらうのがおすすめです。まずは、自分は助手席に座って、左折や右折のタイミング、車間距離の取り方などを観察し、運転のイメージトレーニングから始めます。次にベテランドライバーに助手席に乗ってもらい、運転のアドバイスやサポートをしてもらいながら慣れていきましょう。
運転中に不安になった時は「怖い!」「できない!」と叫ぶのではなく、何が怖いのか具体的に言葉にすることが大切。同乗者も的確なアドバイスをしやすくなります。また、客観的に見てもらうことで、苦手な操作や運転のクセなどに気づけるというメリットもあります。
定期的、継続的に運転する
安心して運転できるようになるには運転に慣れる必要があります。同じ道を繰り返し練習すると早く操作に慣れるでしょう。同じ道でも昼間や夜間、交通量によって変化しますので、時間帯を変えて練習するのもおすすめです。また、定期的に継続して練習することも大切。週1日は走行するなど、運転を習慣づけるようにしましょう。
5.これで安心!運転の練習をする方法
1人で練習するだけでは不安な時や公道を走るのが怖い時は、プロのサポートを受けるのも1つの手です。運転の練習をする方法を紹介します。
自動車教習所
いきなり公道で走行するのは心配、という方は自動車教習所でペーバードライバー向けの講座を受講する方法があります。免許を取得した時のように教官から指導を受けながら学び直すことができます。
運転試験場の運転コースで練習
各都道府県の運転試験場では、運転に自信のない方などへ向けて運転コースを開放しているところがあります。たとえば、東京都なら府中運転免許試験場と鮫洲運転免許試験場で開放しています。予約すれば、試験場の運転コースで練習することができます。練習車両は自分で持ち込むところと借りられるところがあります。コース使用料や利用条件なども地域によって異なりますので、事前に確認しましょう。
出張個人レッスン
ペーパードライバーを対象にした出張個人レッスンを利用して、マンツーマンで教わる方法もあります。教習所のように練習用のコースではなく、普段使用している生活圏の路上で練習したり、自分の車で練習したりすることができます。
6.まとめ
久しぶりに運転しようと思っても、車に搭載された設備の機能や操作方法を忘れてしまっていることが珍しくありません。出発する前に、まずは運転席に座って、どれがどんな機能を持っているのか、どんな風に操作すれば良いのか確認しましょう。また、交通ルールや車間距離の取り方など、運転に関することもしっかり復習することが大切です。イメージトレーニングだけでは不安な時は、運転が上手な人にアドバイスをもらいながら練習するのもおすすめです。久しぶりの運転だからこそ、ぜひ安全運転を心がけてください。