新車登録から3年後、それ以降は2年ごとに受ける車検。いざ車検を受けるとなると、どれくらい費用がかかるかわからないという方も多いのではないでしょうか。また、一度車検を受けたことがある方は、法定費用と車検基本料金それぞれにおいて、なぜ支払いが現金とクレジットカード等に分かれているか疑問に思ったこともあるでしょう。
そこで当記事では、車検費用の内訳から相場、安く抑える方法について紹介。また、車検費用のキャッシュレス化についても解説しますので、車検を受ける際には、ぜひ参考にしてください。
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1.車検とは?
車検とは車が保安基準に適合しているかを確認する検査
車検の正式名称は「自動車検査登録制度」。国が定めている検査であり、公道を走行する全ての車に義務付けられています。
車検を受けると、「自動車検査証」が交付されます。「自動車検査証」には有効期限があり、新車登録の場合は3年で、それ以降は2年。つまり、2回目以降は2年ごとに受けなければなりません。
車検が切れているとどうなる?
車検の有効期限が切れると、公道を走行することができなくなります。車検が切れただけでは罰則などに科されることはありませんが、車検が切れたまま公道を走行した場合は、道路運送車両法違反となります。その場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるほか、違反点数が6点加算され、免許停止処分30日間という行政処分も。こうした罰金・罰則を避けるためにも、車検の有効期限はしっかりと確認し、切れる前に車検を受けるようにしましょう。
2.車検にかかる費用の内訳は?
車検費用は、大きく分けると法定費用と車検基本料金の2つがあります。法定費用、車検基本料金のそれぞれについて詳しく紹介しましょう。
法定費用とは?
法定費用とは、自動車重量税、自賠責保険料、印紙代の3つからなります。法定費用は車両重量や初度からの登録年数などによって費用が決められています。なお、自動車重量税と印紙代は不課税、自賠責保険料は非課税となり、法定費用に税金はかかりません。
自動車重量税
自動車重量税とは、その名の通り車の重さ等によって課される税金のこと。車検を受けるたびに、2年分の税金を納付します。自動車重量税は、車種や重量、初度登録からの経過年数などによって費用が定められています。自家用乗用車で、0.5t以下の場合は8,200円、1t以下の場合は16,400円、1.5t以下の場合は24,600円と、0.5tごとに8,200円増えていくのが特徴です。ただし、自家用軽自動車の場合は一律6,600円です。また、エコカーの場合は減税対象となり、排気ガスと燃費の基準を何%達成できたかによって税額が決まります。自動車重量税の費用は以下の通りです。
<自動車重量税>
エコカー | エコカー (本則税率) |
エコカー対象外 | |||
---|---|---|---|---|---|
初度登録から経過年数12年まで | 初度登録から経過年数13年以上 | 初度登録から経過年数18年以上 | |||
軽自動車(二輪を除く) | 免税 | 5,000円 | 6,600円 | 8,200円 | 8,800円 |
0.5t以下 | 5,000円 | 8,200円 | 11,400円 | 12,600円 | |
〜1.0t | 10,000円 | 16,400円 | 22,800円 | 25,200円 | |
〜1.5t | 15,000円 | 24,600円 | 34,200円 | 37,800円 | |
〜2.0t | 20,000円 | 32,800円 | 45,600円 | 50,400円 | |
〜2.5t | 25,000円 | 41,000円 | 57,000円 | 63,000円 | |
〜3.0t | 30,000円 | 49,200円 | 68,400円 | 75,600円 |
※継続検査・2年自家用の場合
※2021年5月1日以降の場合
なお、国土交通省では、自動車重量税を照会できるサービスを提供しています。照会画面で車台番号と検査予定日を入力することで、検査予定日時点の税額を確認できますので、こちらを利用してみるのもいいでしょう。
自賠責保険料
自賠責保険とは、自動車事故の被害者救済を目的としたもので、対人事故の賠償損害のみ補償されます。自賠責保険の保険料は法律で定められており、保険会社により金額の差はありません。
この自賠責保険は、強制保険。つまり、車を所有している全ての人に加入が義務付けられています。自賠責保険に加入せずに運行した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金、違反点数6点の加算、そして免許停止処分となります。なお、自賠責保険に加入していても、証明書を所持していなかった場合は、30万円以下の罰金が科せられますので、注意しましょう。
<自賠責保険料>
保険期間 | ||||
---|---|---|---|---|
24ヶ月 | 25ヶ月 | 36ヶ月 | 37ヶ月 | |
自家用乗用車 | 20,010円 | 20,610円 | 27,180円 | 27,770円 |
軽自動車 | 19,730円 | 20,310円 | 26,760円 | 27,330円 |
※2021年4月1日以降の場合
※離島・沖縄県を除く
印紙代(検査登録手数料)
印紙代は、検査費用や車検証の発行手数料を納めたことを証明する、印紙や証紙の費用です。車検の手数料と考えていいでしょう。車検では「自動車検査登録印紙」「自動車審査証紙」と呼ばれる印紙になり、前者は国に、後者は独立行政法人自動車技術総合機構(以下、機構)に支払います。印紙代は、車両サイズと車検を受ける工場によって金額が異なります。なお、令和3年10月1日より、機構に支払う手数料が400円追加されました。これは、衝突被害軽減ブレーキ等の電子制御がなされている先進安全装置の故障診断に必要な情報管理、全国の検査場や整備工場が利用する情報システムを運用していくための費用にあてられます。
<印紙代>
指定工場 | 認証工場 | |
---|---|---|
軽自動車 | 1,500円 | 1,800円 |
小型自動車(5ナンバー) | 1,600円
※OSS申請(オンライン決済)の場合は1,400円 |
2,100円 |
普通自動車(3ナンバー) | 2,200円 |
※2021年10月1日以降の場合
※継続検査の場合
車検基本料金とは?
車検基本料金とは、車の点検費用や車検の代行手数料などのこと。車検を依頼する業者に支払う料金をいいます。そのため、国で定められた基準にもとづいて決まる法定費用とは違い、業者によって金額が変動するのが特徴。なお車検基本料金を支払うのは、車検を依頼する業者ですので、ディーラーやガソリンスタンド、車検専門店、整備工場などになります。
3.車検費用の相場とは?
法定費用の内訳
ここまで説明した通り、車検費用は車種や初度登録からの経過年数、車検を依頼する業者によって金額が変動しますので、一概に相場を提示することはできません。しかし、法定費用であれば相場がわかりますので、いくつか例を見ていきましょう。
自動車重量税 (24ヶ月分) |
自賠責保険料 (24ヶ月分) |
印紙代 (認証工場の場合) |
合計 | |
---|---|---|---|---|
軽自動車 | 6,600円 | 19,730円 | 1,800円 | 28,130円 |
小型自動車 (車両重量1t以下) |
16,400円 | 20,010円 | 2,100円
※5ナンバー |
38,510円 |
中型自動車 (車両重量1.5t以下) |
24,600円 | 20,010円 | 2,200円
※3ナンバー |
46,810円 |
大型自動車 (車両重量2t以下) |
32,800円 | 20,010円 | 2,200円
※3ナンバー |
55,010円 |
※令和4年10月時点で算出した金額です。
※それぞれ、経過年数13年未満、エコカー減税対象外の場合です。
※自賠責保険料は、沖縄県や離島以外の地域での金額となります。
4.車検費用はどんな時に高くなる?
初度登録から13年、18年経過している時
法定費用のうち自動車重量税は、初度登録から13年、18年経過するタイミングで上がります。例えば、自家用軽自動車の場合、12年までは6,600円ですが、13年経過すると8,200円、18年経過すると8,800円に。自家用乗用車(1.5t)の場合は、12年までは24,600円ですが、13年経過で34,200円、18年経過で37,800円に上がります。
※いずれも、エコカー対象外の車
整備箇所が多い時
車検での整備箇所が多いと、その分整備費用や部品交換費用などがかかり、車検基本料金が高くなります。車の使用年数が長くなり、走行距離が増えるなど、部品の劣化や摩耗が進むため、車検費用も高額になると考えていいでしょう。ちなみに、走行距離が10万kmを超えると、クラッチや、発電機であるオルタネーターなど高額な部品を交換するタイミングとされているため、車検基本料金がさらに上がる傾向にあります。
5.車検費用を安く抑える方法とは?
車検基本料金が安い業者を選ぶ
ここまで説明した通り、法定費用は法律で定められた基準にもとづき費用が決まっています。そのため、車検費用を抑えるには、車検基本料金が安い業者を選ぶのが一つのポイントになります。ディーラー、車検専門店、ガソリンスタンド、カー用品店、整備工場の特徴を紹介しますので、メリット・デメリットも把握したうえで、業者を選ぶようにしましょう。なお、各店によって費用は異なりますので、事前に見積もりをとり、比較することをおすすめします。
ディーラー
取扱うメーカーの車に関する知識であれば、ディーラーが優っているといえます。原則として高品質な純正部品を用いて修理するため整備費用は高くなりがちであるものの、予防整備や保証など充実したアフターケアによる安心感があります。日曜日も営業しているため利用しやすく、車検以外の細かな要望にまで担当者が親身に応えてくれるのもディーラーならではの魅力でしょう。
車検専門店
車検専門店のメリットは、車検を早く終えられることと費用が安い点にあります。1日車検が一般的であり、中には数時間で車検を終える店もあります。作業が早いからといっても整備や点検が粗雑なわけではなく、車検整備に特化している分、効率良く車検を行えるのが早さの理由です。ただし、整備技術やサービスは店舗によって差が大きいため、店選びが難しい点がデメリットといえるでしょう。
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドの相場も安めで、ガソリンの値引きや洗車サービスなどの特典があるのも嬉しいポイント。また、給油のついでに見積もり依頼・予約をできるほか、24時間営業のお店も多いので、忙しくて日中に時間をとれないという方でも、気軽に依頼できるのはメリットです。ただし、車検や大掛かりな整備は外注となる場合が多いため時間がかかります。また、代車の都合がつきづらい点もデメリットといえるでしょう。
カー用品店
カー用品店では、様々な種類や価格帯の中から部品を選べるため、部品交換費用を安く抑えられる傾向にあります。また、充実したサービスや特典が付いているので、日頃からよくカー用品店を利用する人ほどメリットが大きいでしょう。しかし、カー用品店の中には指定工場を持っていないこともあり、その場合は車検日数がかかってしまうことも。また、車検を専門で行っているわけではないので、お店によって整備の質にばらつきがあるケースもあります。
整備工場
整備工場の特長は技術力の高さです。他店では部品の交換が必要なケースでも、中古部品を取り寄せたり修理をしたりすることで整備費用を抑えられるケースもあります。また、幅広い車種に精通しているため車種を問わず依頼できます。ただし、土日が休みであることが多く、やや利用しづらい点がデメリットといえるでしょう。
点検・整備項目を最小限に抑える
業者によっては、安全面を考慮して、車検で定められている箇所以外にも点検してくれることがあります。また、コーティングなど車検の項目ではないサービスを含んでいるケースも。そのため、事前に見積書の内訳を確認し、必要のない点検や整備を外してもらうようにすれば、車検検査費用を安く抑えることができます。ただし、車検は安全に車を乗るために必要な検査ですので、費用を抑えたいからといって安易に項目を削るのは禁物。慎重に検討するようにしましょう。
優待サービスを利用する
勤めている企業によっては、車検の優待サービスを受けられる福利厚生があることも。指定業者で車検費用が割引になるので、一度勤務先の制度を確認してみるといいでしょう。また、企業の福利厚生でなくとも、個人でサービスに契約していれば、車検を優待価格で受けられることもあります。
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6.車検費用の支払い方法は?
法定費用と車検基本料金で支払い方法は異なる
車検費用のうち、法定費用は国や保険会社に支払うため、業者に車検を依頼する場合であっても現金払いであるケースが多いです。理由としては、クレジットカード決済にしてしまうと、業者が法定費用を一時的に建て替えなければならないから。また、法定費用は業者の利益でないにもかかわらず、その分の決済手数料を負担しなければならないことも理由の一つでしょう。
一方、車検基本料金は業者に直接支払うため、現金以外にも、クレジットカードや電子マネーでの支払いが可能な場合も。ただし整備工場などでは現金払いしか対応していないこともあるため、事前に業者に確認しておくようにしましょう。
2023年の1月から法定費用もキャッシュレス決済可能に
前述の通り、法定費用の支払いは原則現金払いであると説明しました。しかし、2022年11月に施行されたキャッシュレス法により、2023年の1月にも法定費用のうち「印紙代(検査登録手数料)」と「自動車重量税」がクレジットカードで支払えるようになります。この流れを受けて車検費用の支払いにおいてもキャッシュレス化が広がり、利便性が向上することも期待されます。
7.監修コメント
自動車の不具合はいつ起きるか分かりません。消耗部品の劣化やパンクによる空気圧の低下など、どうしても避けられないトラブルもあります。そんな時に頼りになるのが、些細なことでも相談できるディーラーや整備工場、顔見知りのスタッフがいるガソリンスタンドやカー用品店などです。
2年に1度の車検は、そうした自動車のスペシャリストと親密になれる絶好の機会でもあります。なるべく費用を抑えたくなるところではありますが、他店と比較してばかりでは、良好な関係は築けません。車検の見積もりを出してもらう時は、必要な費用をよく知り、お互いが納得できる額で折り合いをつけるとよいでしょう。