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エアバッグとは?役割や使用上の注意から疑問まで徹底解説します!

更新

2023/03/29

公開

2023/03/29

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衝突事故などによる大きな衝撃から身を守ってくれるエアバッグ。現在ではほとんどの車の運転席と助手席に標準装備されている他、後部座席用など様々な種類が登場しています。しかし、使用上の注意点を守らなければ、エアバッグの効果は十分に発揮されません。

そこで、本記事ではエアバッグの役割や注意点などを徹底解説。エアバッグにまつわる疑問にお答えします。

目次

    1.エアバッグとは?

    エアバッグとは、車が一定の強い衝撃を受けたときに膨らみ、乗員がハンドルやダッシュボードなどにぶつかって重大な傷害を負うのを避けられるように、頭部や胸部への衝撃をやわらげる安全装置です。

    現在、国内で一般的に使用されているものは、正式には「SRSエアバッグ」と呼びます。これは「Supplemental Restraint System)の略称で、日本語にすると「補助拘束装置」。エアバッグは単体で安全を守るのではなく、シートベルトを正しく着用したうえで効果を発揮する補助装置と位置づけられています。つまり、エアバッグが搭載されていても、必ずシートベルトを着用しなければなりません。

    2.エアバッグにはどんな種類がある?

    エアバッグと聞いてイメージしやすいのは、運転席や助手席に設置されたフロントエアバッグです。この他にも、サイドエアバッグやサイドカーテンエアバッグなど、様々な種類があります。それぞれの役割を見てみましょう。

    【主なエアバッグの種類】

    ①フロントエアバッグ

    前面衝突した際に瞬時に膨らみ、ドライバーや助手席の乗員の頭部や胸部などがダッシュボードやハンドルなどに打ちつけられるのを防ぎます。フロントエアバッグは、現在の新車にはほとんど標準装備されています。

    ②サイドエアバッグ

    車の側面から衝撃を受けたときに、ドアと乗員の隙間を埋めるように膨らみ、胸部、腹部などへの衝撃を軽減します。通常はシートの背もたれに格納されています。運転席と助手席、後部座席用があり、オプションでの搭載となる車種が多いですが、標準装備している車も増えつつあります。

    ③サイドカーテンエアバッグ

    ドア上部のルーフライン(車体の屋根に沿った部分)に設置され、側面から衝撃を受けたときにカーテンのようにドア全体に広がります。主に乗員の頭部を守るためのエアバッグです。作動後、しばらくは膨らんだままになるため、横転した際などに乗員が車外に飛び出すのを防ぐ役割もあります。

    ④後席センターエアバッグ

    後部座席の中央に設置されており、衝撃を受けた際に後部座席の乗員同士がぶつからないようにする役割があります。

    ⑤その他のエアバッグ

    前面衝突したときに足を保護する「ニーエアバッグ」や、シートの座面前部分が膨らんで乗員の腰がシートベルトの下から滑り落ちるのを防ぐ「シートクッションエアバッグ」などもあります。ニーエアバッグはインパネやダッシュボードの下の部分、シートクッションエアバッグは助手席のシートに格納されています。また、最近では、歩行者との衝突に備えてフロントガラスとボンネットに沿って膨らむ「歩行者保護エアバッグ」も登場しています。

    エアバッグがついているかどうかの確認方法は?

    エアバッグが装備されている場所には「SRS」「AIRBAG」「SRS AIRBAG」などの表示があります。たとえば、フロントエアバッグなら、運転席はハンドルのホーンの下のあたり、助手席はダッシュボードのあたりに表示されています。

    3.エアバッグはどんなときに開く?

    大きな衝撃を受けても、衝突したときの速度や衝突角度によってはエアバッグが開かないことがあります。エアバッグの種類によって開く条件は異なりますが、フロントエアバッグが開くのは以下の場合です。

    1. コンクリートの壁など強固な構造物に、時速約20〜30km以上の速度で正面衝突したとき
    2. 自動車などと正面衝突し、①と同程度の衝撃を受けたとき

    なお、フロントエアバッグやサイドエアバッグは膨らんだ後、すぐにしぼむ仕組みになっているため、多重衝突事故のように衝突した後でさらに衝撃を受けても防ぐことはできません。

    事故ではなくても開くことがある

    エアバッグに搭載されたセンサーが一定の衝撃を感知すると、事故ではなくてもエアバッグが開いてしまうことがあります。たとえば、次のようなケースがあります。

    • 縁石や路肩、車止めに乗り上げた
    • 溝や穴に落ちた
    • 地面に強くぶつかった

    エアバッグが作動することで車両の破損や故障が発生する可能性があります。作動の原因が衝突事故ではない場合も、走行は続けずに安全な場所に止め、修理工場やディーラーなどに連絡しましょう。

    衝突してもエアバッグが開かないケース

    一方、衝突事故が起きても下記のような場合は、エアバッグが開かないことがあります。

    • 電柱などに衝突し、車の前面の一部が極端に変形するような事故
    • 車高が高いトラックの荷台の下に潜り込み、衝撃が徐々に伝わった場合
    • 車の側面に衝突し、相手側が大きく変形するような事故
    • 斜めに衝突した場合や車が衝突しながら大きく移動した場合

    4.エアバッグの使用上の注意点は?

    エアバッグは万能ではありませんが、事故が起きたときの最後のセーフティネットとも言えます。正常に作動するように正しい使用方法を知っておきましょう。

    シートベルトを必ず着用する

    冒頭でも触れたように、エアバッグはシートベルトの補助的な装置です。調査によると、エアバッグが作動したにもかかわらず乗員が死亡した事故では、シートベルトを着用していなかった場合は着用していた場合よりも、死亡率が約15倍も高いという結果が出ています(交通事故総合分析センター、2006年)。エアバッグがあっても、シートベルトの着用は欠かせません。

    エアバッグの装置の周辺に物を置かない

    インパネやダッシュボードなど、エアバッグが格納されている場所に物を置いたり、飾りをつけたりするのは危険です。エアバッグが作動したときに吹き飛ばされて乗員にぶつかり、重大なケガを負う可能性があります。ステッカーなどを貼り付けるのもやめましょう。

    正しい姿勢で座席に座る

    エアバッグは正しい姿勢で座っていることを前提として作られています。座席を大きくリクライニングさせている場合などは、エアバッグの性能が発揮されません。また、作動時には非常に早いスピードで膨らみます。このため、ハンドルに近づきすぎる、格納されている場所に足を乗せる、手や足を近づける、もたれかかるといった姿勢は危険です。

    助手席にチャイルドシートを乗せるのは危険

    エアバッグは大人が座ることを前提に設計されていますので、助手席にチャイルドシートを取り付けた場合、効果が発揮されないことや、むしろ被害を拡大させてしまうことがあります。とくに、助手席に後ろ向きのチャイルドシートを設置してはいけません。エアバッグが膨らんだときの衝撃がチャイルドシートの上部にかかり、子どもが助手席に押し付けられたり、チャイルドシートが弾き飛ばされたりなど、命に関わる危険があります。

    チャイルドシートは子どもの安全のため、基本的に後部座席に設置します。やむをえず助手席にチャイルドシートを設置する場合は、前向きに取り付け、助手席のシートを1番後ろに下げましょう。チャイルドシートについては次の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

    関連記事
    チャイルドシートはなぜ必要?正しい使い方や装着時の注意点など

    5.エアバッグの疑問いろいろQ&A

    エアバッグが膨らむ仕組みやスピード、作動した後の閉じ方、警告灯がついたときの対処法など、気になる疑問にまとめてお答えします!

    エアバッグが膨らむ仕組みは?

    大まかには、衝撃を感知するセンサーと、エアバッグの作動を判断するコントロールユニット、ガスを発生させるインフレータ、エアバッグなどの部品で構成されています。衝突によって車が衝撃を受けるとセンサーが感知し、コントロールユニットが作動を指示。瞬時で火薬が着火されて爆発。発生した窒素ガスによってエアバッグが膨らむ仕組みになっています。

    エアバッグが膨らむスピードは?

    衝突を感知してからエアバッグが膨らみきるまでにかかる時間は、わずか0.03秒、時速100km〜300kmの目にも止まらない速度です。エアバックの作動によって乗員に強い衝撃を与えないように形状など様々な工夫がされています。しかし、膨らんだ際にかすり傷、打撲、骨折、ヤケドなどを負うこともあります。

    エアバッグの閉じ方は?

    フロントエアバッグなどは作動した後、0.2秒ほどですぐに自動的にしぼむようになっています。しかし、1度開いたエアバッグを閉じ直して再利用することはできません。引き続きその車に乗る場合は、整備工場などで修理・部品交換する必要があります。

    警告灯がついた時はどうする?

    エアバッグ警告灯が点灯しているときは、「電気系統の不具合」「センサーの異常」「バッテリー不足」「シートベルト(プリテンショナー)の不具合」など、何らかの異常が考えられます。放置しておくと、いざというときにエアバッグが正常に作動しない可能性があります。すぐにディーラーや整備工場などに相談しましょう。

    6.監修コメント

    欧州車などは、助手席のエアバッグの作動をオフにできる機能を備えていることがあります。これは、助手席に後ろ向きのチャイルドシートを設置する場合のための装置。通常は、エアバッグが作動するモードに設定しておく必要があります。
    私自身、過去に後方から追突された経験があるのですが、居眠り運転だった加害者は、エアバッグの衝撃やシートベルトの圧迫で肋骨を骨折していたそうです。エアバッグで衝撃が緩和されても、そういったダメージを負うことがあります。
    エアバッグの安全性を高めるためにも、お持ちの車の取扱説明書をよく読み、正しい姿勢で乗車することを心がけましょう。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

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