HOW TO EV VOICEでは、『おとなの自動車保険』会員を中心に多くのマイカー所有者の声を集めるための口コミアンケートを定期的に実施しています。
第1回のアンケートは2024年6月の終わりから7月にかけて実施しました。EVオーナーだけでなく、様々な車種のオーナーにもEVカーライフについてどのように思っているか、このアンケートをもとに、EVカーライフの先輩の回答を分析しつつ、シリーズでクルマオーナーの声を紹介していきます。
さて、第6回のテーマはBEVやPHEV(プラグインハイブリッド)に現在乗っているオーナーが次に購入したいクルマの動力源としてなにを考えているのかについてです。今回はガソリンエンジンオーナーが次に購入したいクルマに関しての声も参考にしつつ、BEVやPHEVオーナーが求める条件を詳しく探ります。
BEVオーナーの82%がリピート希望 「ガソリン車に戻れない」

まず、現在のBEV(電気自動車)オーナーが次回のクルマとして求めているのもまたBEVで、82%の方々が次回もBEVを検討していることがわかりました。特にBEVに満足している理由として「静粛性」や「維持費の安さ」、「環境に配慮できる」といった声が多く、すでに充電設備を整えているオーナーからは「ガソリン車に戻れない」という意見も多く寄せられています。BEVに慣れたオーナーにとって、エンジン音がない静かな運転や手軽な充電による維持費の低さは、大きな魅力となっています。
一方で、BEVオーナーの31%は、次の購入車種としてPHEVを選択肢に挙げています。理由としては、ほとんどの方が現状のEVでは長距離移動における「充電インフラ不足」を感じており、インフラが十分でない地域や旅行先での充電確保に懸念を持つオーナーが多いことが浮き彫りとなりました。ガソリンエンジンオーナーからもBEVに対して「充電スタンドが少なく、長距離移動時に充電時間を取られることがネック」という意見が多く、BEVへの移行をためらわせる一因となっています。ガソリン車では、数分で満タンにできることから、充電にかかる時間を不便と感じている声が多く、BEVが主流になるにはインフラのさらなる整備が不可欠と言えます。
また、BEVオーナーが次のクルマに求める重要なポイントとして「航続距離」が挙げられます。現在のBEVオーナーの多くは、満充電時の走行距離を重視しており、地方在住者や長距離の移動が頻繁にあるオーナーは、BEVの航続可能距離は十分でないと感じているようです。
さらに、「補助金」や「ランニングコストの安さ」も購入の重要な判断材料とされています。電気代の変動や補助金制度がオーナーのBEV継続意欲を左右するため、国や地域の支援策も今後の普及を後押しする要素と言えるでしょう。一方、ガソリンエンジンオーナーは充電コストについての不安も多く、「充電設備を新たに設置するコストが未知数で不安」と感じる意見が目立ちました。
PHEVオーナーは75%が次もPHEV、35%がBEV

一方、PHEVオーナーが次に購入したいクルマとして、最も多かった回答は「プラグインハイブリッド(PHEV)」で75%、次いで「電気自動車(BEV)」が35%、「ハイブリッド」が21%という結果となりました。注目すべきは、全体の84%のオーナーがなんらかの電動化車両を次期購入の候補として検討していることです。従来型のガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車を選択したオーナーは、それぞれわずか4%と2%にとどまっています。
BEVへの購入意向を示したオーナーからは、その理由として「静粛性」、「力強さ」、「環境への配慮」、「ランニングコスト」などが挙げられています。特に注目すべきコメントとして「10年後には電池性能が上がっており不便さが解消されていると思うから」という将来性への期待や、「週末しか乗らない自分のライフスタイルに合っている」という具体的な使用シーンを想定した意見がありました。
BEVを選択しない理由として最も多く挙げられたのが、これもまた充電インフラの不足と航続距離への不安です。具体的なコメントとして、「充電設備が各所にない上に、利用するには、毎月基本料を払わないと使えないことが多く、非常に高い料金がかかるから」、「長距離移動時の充電が面倒」といった意見が目立ちました。
不安に思う点についての質問では、「電欠が心配」が81%と最も高く、次いで「自宅外の充電設備で充電の順番待ちがわずらわしそう」が62%、「自宅外で充電できる場所を探すのが大変そう」が54%と続きます。これらの結果から、充電インフラの整備状況が、BEV普及における最大の課題であることが明確に示されています。また、「事故に遭ったときや故障したときのクルマの修理費が高額になりそう」が11%と、維持費用面での不安も存在することがわかりました。地域特性による課題も指摘されており、「雪国で遠出する場合があるため」、「北海道だから」といった意見からは、気候条件によるBEV普及の地域差も考慮する必要があることが示されています。
次世代モビリティに期待することとは?
今回のアンケート結果からBEVやPHEVオーナーの多くは、静粛性や環境性能を魅力に感じ、特に自宅に充電設備を備えている層は満足度が高い傾向にあります。BEV、PHEVのオーナーがお互いの動力源に移行する可能性がある一方で、今後、ガソリンエンジンの車両に戻ることは考えにくく、ともに次世代のモビリティに期待していることがわかりました。将来的にBEVの充電インフラの整備状況や車両価格の高さへの不満が解消すれば、ほとんどのオーナーがBEVに集約されることは間違いないようです。しかし、不満の"完全解消"は、よほどの技術革新がないと実現が難しく、しばらくはガソリン車とBEV、PHEVの共存が続くことでしょう。
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【アンケート調査概要】
アンケート内容:お車に関するアンケート
調査対象:おとなの自動車保険契約者
総回答者数:2,860人
実施期間:2024年6月24日~2024年6月28日

分析と声の紹介:田代真人さん
福岡県出身。九州大学工学部卒業後、朝日新聞社入社。
その後、学習研究社にてファッション女性誌編集者、ダイヤモンド社にてWebマスター、雑誌編集長、書籍編集などを経て、起業。
出版&電子出版、Webプロデューサー、PRコンサルタントとして活動。現在は、桜美林大学非常勤講師など複数の大学で「コミュニケーション」「編集論」を教えている。そしてはじめてのEVとしてテスラ「モデルY」を2022年に購入し、EVカーライフを体験中。