HOW TO EV VOICEでは、『おとなの自動車保険』会員を中心に多くのマイカー所有者の声を集めるための口コミアンケートを定期的に実施しています。
第1回のアンケートは2024年6月の終わりから7月にかけて実施しました。EVオーナーだけでなく、様々な車種のオーナーにもEVカーライフについてどのように思っているか、このアンケートをもとに、EVカーライフの先輩の回答を分析しつつ、シリーズでクルマオーナーの声を紹介していきます。
さて、第5回のテーマは近年メーカー、ユーザー双方から注目を集めているプラグインハイブリッド車(PHEV)。その普及が進む中、実際のオーナーたちはどのような意識でPHEVを選び、どう使っているのでしょうか。今回実施したアンケート調査から、PHEVオーナー像に迫ってみました。
停電時にクルマの電力を家に供給できる
まず、PHEVを選んだ理由として「最新技術、機能が充実している」(51%)が最も多く、続いて「魅力的なデザイン」(49%)、「静粛性が高い」(44%)、「安全機能が充実している」(44%)という結果となりました。さらに「環境にやさしい」(37%)、「ランニングコストが安い」(35%)といった実用的なメリットも重視されています。
注目したいのは「停電時にクルマの電力を家に供給できる」(35%)という回答の多さです。近年の災害への意識の高まりから、PHEVの非常用電源としての価値も評価されていることがわかります。また、「自宅のソーラーパネルを有効活用できる」(10%)という回答も見られ、住宅のエネルギーマネジメントとの連携を意識したオーナーもいらっしゃいます。
満足度調査では、「非常に満足」(48%)と「満足」(46%)を合わせると94%という極めて高い数字となりました。満足の理由として多く挙げられたのは、「燃費の良さ」「静粛性」「加速性能」の3点です。特に「電気のみで50kmほど走行でき、その後も燃費30km/L程度の低燃費で、毎日の通勤に大変助かる」、「日常の使用ではEVのみで走行できるので旅行しない限りガソリン給油が不要」といったコメントに代表されるように、実際の使用場面での経済性と快適性が高く評価されています。
自宅充電が基本、計画的な使用スタイル
PHEVオーナーの89%が戸建て住宅居住者で、そのうち29%がソーラーパネルを設置しています。充電環境については、自宅充電するPHEVオーナーの91%が200V充電設備を導入しており、計画的な充電環境を整備していることがわかります。
使用頻度は「ほぼ毎日」が40%、「週に3〜5日」が24%と、日常的な使用が主流のようです。一方で、自宅以外での充電については「充電しない」が62%を占め、自宅での充電を基本とする使用パターンが浮かび上がってきます。
外出先での充電は、普通充電の場合はショッピングモール(42%)が主な利用場所で、その他、自動車ディーラー・公共駐車場(ともに21%)、ホテル(10%)などで、急速充電では自動車ディーラー・ショッピングモール(ともに29%)が多く、次に多かったのが、公共駐車場・高速道路のサービスエリア(ともに25%)でホテル(17%)と続きます。充電中の過ごし方は「車外で休憩/食事/買い物などをする」(85%)が最も多く、車内で音楽を聴いたり、動画を観たりする方はいません。仕事(15%)やメールチェック(15%)など、簡単な作業をする人はいらっしゃいますが、充電容量がさほど多くないPHEVでは、車内でゆっくりと過ごす方は少ないようです。
環境への配慮と実用性を重視
次回購入を検討している車両の動力源については、75%がPHEVを選択しており、現在のPHEVへの高い満足度が次回の選択にも影響を与えていることがわかります。一方で、電気自動車(BEV)への関心も35%と決して低くはありません。
しかし、BEVへの不安として「電欠が心配」(81%)、「自宅外の充電設備で充電の順番待ちがわずらわしそう」(62%)、「自宅外で充電できる場所を探すのが大変そう」(54%)といった声が多く、充電インフラの整備状況が購入判断に大きく影響していることが明らかとなりました。そのほか「故障したときのクルマの修理費が高額になりそう」(11%)という声もありました。
BEVを選ばない理由としては、「充電設備が充実していない」、「長距離移動への不安」、「充電時間の長さ」、「動力源が電力だけでは心配」といった意見が目立ち、やはり充電インフラが問題のようです。一方で、BEVを検討する理由としては「将来の主力車種になる」、「環境への配慮」、「静粛性と力強さ」といった前向きな評価も見られ、インフラ整備の進展次第では選択肢として検討する可能性を示唆しています。
このように、PHEVオーナーは環境への配慮と先進技術への関心が高く、かつ実用性も重視する傾向が強いことがわかります。現在のライフスタイルに合わせた計画的な使用を心がけながら、次世代モビリティの動向にも強い関心を持っています。ただし、新技術の採用には慎重で、インフラ整備や実用性を見極めたうえでの判断を重視する傾向が顕著です。
こうした特徴は、技術の進歩と環境配慮の両立を求める現代の消費者像を如実にあらわしていると言えるでしょう。PHEVは、そうしたニーズに応える現時点でのベストソリューションとして、多くのオーナーから支持を得ているようです。
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【アンケート調査概要】
アンケート内容:お車に関するアンケート
調査対象:おとなの自動車保険契約者
総回答者数:2,860人
実施期間:2024年6月24日~2024年6月28日
分析と声の紹介:田代真人さん
分析と声の紹介をナビゲートしてくれるのは田代真人さん。
福岡県出身。九州大学工学部卒業後、朝日新聞社入社。
その後、学習研究社にてファッション女性誌編集者、ダイヤモンド社にてWebマスター、雑誌編集長、書籍編集などを経て、起業。
出版&電子出版、Webプロデューサー、PRコンサルタントとして活動。現在は、桜美林大学非常勤講師など複数の大学で「コミュニケーション」「編集論」を教えている。そしてはじめてのEVとしてテスラ「モデルY」を2022年に購入し、EVカーライフを体験中。