夏本番になると、心配されるのが熱中症です。ならないよう注意すると同時に、それでもなってしまったときの備えも考えておきたいものです。予防対策や、熱中症をカバーできる保険について、知っておくと役に立つ情報をお届けします。
年間1000人を超える死者も
環境省の熱中症予防情報サイトによると、熱中症は次の3つの要因によって体温が上昇し、調整機能のバランスが崩れて身体に熱が溜まった結果、発症するようです。
環境
気温が高い、湿度が高い、風が弱い、閉め切った屋内など
からだ
高齢者、乳幼児、肥満、持病がある、二日酔いや寝不足等の体調不良など
行動
激しい運動、慣れない運動、長時間の屋外作業、水分補給できない状況など
熱中症の危険性が極めて高いと予測された際には、気象庁から「熱中症警戒アラート」が発表されます。天気予報をチェックできない時のために、メール配信サービスに登録しておくと便利でしょう(無料)。指定した地域でアラートが発表された場合に、当日の情報(7時頃)と翌日の情報(17時頃)が配信されます。
アラートが発表されるような「環境」になったときには、「からだ」にリスクがある人は特に、「行動」に留意する必要があります。不要不急の外出や激しい運動を避ける、どうしても必要なら帽子や日傘でカバーする、こまめに水分補給する、屋内でもエアコンで涼しくするなどです。
私もつい油断して、水分を摂らないまま長時間日差しの強い屋外で作業し、軽い熱中症になったことがあります。めまい・立ちくらみなら軽症ですが、頭痛・吐き気がしてきたら中等症です。医療機関を受診し、点滴を受けるなどしたほうがいいでしょう。そして、意識がなかったり、呼びかけに対しおかしな返事をするようになったら重症。救急車を呼ぶ必要があります。対応が遅れると死に至る可能性もある、怖い症状です。
総務省消防庁の報告データによると、2018年以降、2021年を除いて年間1000人を超える人が熱中症で亡くなっています。また、全国で5月から9月の期間に熱中症により救急搬送された人は、2010年以降大きく増加しており、最も多かった2018年は9万5137人、2022年も7万1029人と、かなりの人数です。
熱中症に備えられる保険
もし熱中症になってしまった場合、保険でどのようにカバーできるのか、基本的な内容を見ていきましょう。
生命保険
重症で入院や手術が必要な場合は、「入院保険」など入院・手術を保障する保険・特約から給付金を受け取れます。万一亡くなった場合には、「定期保険」「終身保険」など死亡を保障する保険が対応します。
損害保険
日常的なケガを補償する「傷害保険」など、からだを補償する損害保険の基本補償は「急激・偶然・外来」の事故によるケガとなっており、熱中症は対象外。しかし、「熱中症危険補償特約」の取扱いがある場合は、「傷害保険」やスポーツ・レジャー中のケガを補償する保険(ゴルファー保険、国内旅行保険など)に特約を付けることで、入院、手術、通院、後遺障害がカバーされます。
死亡は補償の対象外となっているのが一般的です。
熱中症を重点的にカバーする保険
独自の商品性を持つ保険も取り扱われています。
損害保険ジャパン『THEカラダの保険(個人用傷害所得総合保険)』
基本的な内容は「傷害保険」ですが、年齢やニーズによるプランが用意されています。例えば、満69歳までの人なら、ケガの補償だけでなく所得補償もセットできる「傷害・所得プラン」、満70~89歳までの高齢者には「まも~るプラン」、子ども・学生向けには「こどもプラン」、ゴルフ中の事故に特化した「ゴルファープラン」などです。
いずれのプランも「熱中症特約」を付けることができ(所得補償のみの契約など一部セットできない契約もある)、生保商品ではカバーされない通院や後遺障害の補償が得られます。さらに、通常の熱中症危険補償特約では補償対象外となっている「死亡」も補償されるのが、この特約の大きな特徴です。
PayPayほけん『「熱中症お見舞い金」保険』
キャッシュレス決済のPayPayアプリから加入できる「PayPayほけん」のひとつで、住友生命グループのアイアル少額短期保険が引受保険会社となっています。
保険期間を1~7日で選べる「期間選択型」と、お手軽プラン・基本プラン・安心プランの3つから選べる保障期間1か月の「月額型」があり、熱中症により医療機関で治療を受けた場合には治療保険金、入院した場合には入院保険金を受け取れます。月額型のほうがリーズナブルですが、期間選択型の場合、午前9時までに申し込めばその日の午前10時から保障が始まるため、当日の気象状況がわかってからの加入も可能です。
家族のためにも申し込めるので、課外活動する子どもや遠方に住んでいる高齢の親の、手軽なリスク対策に利用できそうです。
- 添付ファイル
- 暑い夏のリスク、熱中症をカバーする保険とは?(浅田里花).pdf